日本では一昔前まで麻といえば大麻のことを指し、キモノ文様にも…
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問屋の仕事場から
- 2022.05.27
- 極上のコタツ布団、近江上布繋ぎ柄尽くし
近江上布が贅沢に使われたコタツ布団が出てきました。
「近江の麻」「近江ちぢみ」をはじめとするブランドで知られる滋賀県湖東地域は日本を代表する麻織物の産地です。廣田紬とも大変縁が深い土地で、創業者の出身地でもあります。
麻織物のメッカとも言える湖東地域のさる旧家から染織資料をお預かりした中に、今回紹介するコタツ布団が紛れていました。
初見は何がなんやら全く分からず、織物のハギレがつなぎ合わせてあるサンプルか何かと思いました。しかし広げてみるとスクエア、裏生地にも同じものが使われていて袋形状となっています。古いものですが絹織物とは違い麻は劣化に極めて強いのでまだまだ現役で使うことができそうです。
これらは全て近江上布の生地を継ぎ合わせたもので、両面で約150柄にも及びます。
近江上布といえば、高宮布をルーツに持つ伝統的工芸品です。その昔は幾万反と生産されて湖東地域の人はもちろん、近江商人によって全国に販売されました。現在ではごく少量生産にとどまり、数ある上布(越後、宮古、八重山、能登)などと比較して、一番生産数が少ない点を鑑みると、幻の織物といっても過言ではありません。
そんな近江上布が150種類も、、、
その贅沢なことといったらこの上ありません。
資料的価値の高さはもちろんですが、つなぎ合わせてコタツ布団にするという前代未聞の経緯、ストーリーが気になります。
日の目をみることなく眠っていた幻の近江上布たち、また別項を設けて紹介予定、その魅力が伝わり再興につながれば幸いです。