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問屋の仕事場から

2022.05.03
絣の美しさが光る久米島紬の帯

久米島紬の帯が入荷しました。

紬の中の紬ともいえる久米島紬、泥染めに絣が舞う着物が真っ先にイメージされます。合わせる帯といえば花織や紅型の帯がよく似合います。

典型的な久米島紬の着尺。

着物のイメージが強い久米島紬ですが、実はごく少数帯の制作もされています。

帯も久米島紬のルールに従い、島で採れる染料で染められた100%草木染め紬織物です。今回入荷した2本の九寸帯は着尺にも使えそうな柄をそのまま帯に反映されていますが、柄のある範囲は六通柄となっています。

六通になっていてタレの部分は無地。

泥染めの黒い地色に防染された白い升(四角い)の絣部分がパッと明るく浮き出ます。緯絣だけではぼやっとしたものになりますが経緯組み合わせて面として白を浮き立たせています。さらに上下に茶と黄色の緯絣が入っているのが良い味を出しています。

経緯絣の交点は面で白を作り出す。

組織の拡大、白い部分は経緯の絣。

帯としての張り感も重要で、着尺より幾分厚目の生地に仕上がっています。帯は着物の半分以下の長さで、六通柄ですから、絣柄の部分はさらに短くなります。絣作りのコストは着尺の数倍にも跳ね上がってしまいます。

通常はある程度数をまとめて(2反以上)縛ることで絣作りは行われますが、久米島紬の生産数量レベルでたくさん作るわけにはいきません。手間暇かけて織も染も製作者自ら行う久米島紬だからこそ、コストを度外視した細かな対応ができるのだと思います。

そうして出来上がった久米島紬の帯、実際になかなかのお値段で割高感は否めません。ふるさと納税では久米島町に100万円もの寄付をすれば手に入るようです。

 

シンプルだけども力強い絣柄の帯、真面目に作られた手仕事の美しさが光ります。飽きのこないデザインは年代を問わず使う万能選手です。

ユウナを使った白地のタイプ。

なんとも魅力的な久米島紬の帯、すでに着物の良さを知っていらっしゃる方だけではなく、初めての久米島紬としてもオススメです。これからは着尺だけではなく、帯のバリエーションにも期待したいと思います。

 

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